2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ソネット集

夏目漱石はシェイクスピア劇を受容するにはその「詩國」の住人でなければならぬと言っている。東京朝日新聞の記事参照。 詩国住人、どんな詩が胸にあれば良いのか? シェイクスピア劇の世紀の名優ジョン・ギールグッドの吹き込んだレコードには「ソネット集…

じゃじゃ馬ならし

BBC制作のビデオを見まし。何回にも分けて、日数がかかって見終わりました。見るのが苦しい。バーナード・ショウはこの芝居について「まともな感情を持った男であれば、賭けや女性自身の口から発せられる演説に示されている、偉ぶった男どものモラルに強く恥…

「ヘンリー5世」 雄大な喜劇

「ヘンリー5世」は「ヘンリー6世」とは異なるジャンルの劇である。「ヘンリー5世」は喜劇。コーラスで始まりコーラスで終わる。古代ギリシア風。 終末のフランス語の話せないヘンリー5世と英語がダメなフランス王女キャサリンの愛の対話はオモシロイ。 …

ヘンリー5世

シェイクスピア劇について 驚くのは 描ききること。どの名作であっても 素晴らしい描写はある。しかしシェイクスピアは 神の時をとらえて その場を描ききる。紫式部の描写力は言うまでもないが、光源氏の臨終の場は描ききらない。山田洋治監督の「男はつらい…

末よければ総てよし

坪内逍遥の「末よければ・・」は他の群訳「終わり良ければ 」より本質をとらえた訳と思われます。いろいろ苦いこと、みっともないことは起こったのだが、一家の幸せな未来のための礎はできた、という 聡明な老人たちの 末広がりへの祝意を感じさせる幕切れ。…

終わりよければすべてよし

わたしはBBCシェイクスピアでこの劇を見ています。「終わりよければすべてよし」はシリーズ中の傑作。名優ドナルド・シンデンのフランス王は堂々とし、深慮の伯爵老夫人に映画女優のシーリア・ジョンスン。名優が引き受けたくなるシナリオ。現実の苦みを直視…

THE LIFE AND DEATH OF KING JOHN

いわしろの浜松が枝を引き結び まさき(真幸)くあらばまた還り見ん 有間皇子 孝徳天皇の子 有間皇子。中大兄皇子(天智天皇)に殺されてしまう。 シェイクスピア「ジョン王」を観つつ、一番思いいれをしてしまうのは、アーサー王子である。正統な王位継承者…

ヂョン王

探偵小説家アガサ・クリスティの孫が「おばあちゃんの本が3番目。聖書、シェイクスピアの次に読まれている。すごい!」と言っているNHK特集番組を最近みました。イギリスではシェイクスピアは2番目に読まれている。どの戯曲が、どんな視角から読まれている…

ジョン王

私はBBC制作のVTRで見ました。シェイクスピアの歴史劇はおもしろい。そうなんだ、そうなっていたのだ、と納得がいきます。マグナ・カルタ(大憲章)に調印した王様がジョン王。歴史に残る聡明な方かと思っていましたが、イギリスでの評判は良くないようです…

A MIDSUMMER NIGHT'S DREAM

シェイクスピア劇の翻訳と演出について 坪内逍遥の翻訳と加藤長治の演出。戦前において一世を風靡。今では顧みる人は稀。考え始めたきっかけは、「真夏の夜の夢」を見つつ、題名、坪内訳の「真夏の夜の夢」と他の群訳「夏の夜の夢」の比較。 シェイクスピア…

真夏の夜の夢 原語上演

レヴューガールの軍事教練 1941年 昭和16年12月 「真夏の夜の夢」公演中止 12月8日真珠湾攻撃で開戦 日本女子大学校40周年記念式典 軍人会館。日本女子大学の加藤長治演出原語シェイクスピア劇上演は第1回が1935年「真夏の夜の夢」で第3回「お気にめす…

夏の夜の夢

愛人でいいのと歌う歌手がいて言ってくれるじゃないのと思う 俵万智 「サラダ記念日」 「夏の夜の夢」には 言ってくれるじゃないの 満載。 「私はあなたのスパニエル、ねえ、ディミトーリアス。あなたがぶてばぶつほど私はじゃれつく。スパニエルにして飼っ…

真夏の夜の夢 

坪内逍遥は 「真夏の夜の夢」について「空想詩としては古今有数の絶品なれども、実演すべき劇としては成功せるものとはみなしがたし」と言っている。 今 私はBBC制作の「夏の夜の夢」を見ているが坪内説に同感である。しかし 昭和3年の築地小劇場での上演以…