ハムレット 朗読 坪内逍遥

シェイクスピアハムレット」私が持っているのは、ジョン・ギールグッドのCDとローレンス・オリビエのDVD。探しているのは、ロシアのコジンツィエフ監督の映画「ハムレット」1964年、黒沢明監督の「悪い奴ほどよく眠る」1960年。

ハムレット」は最上質の作品。極上のウィスキーの如く、おりにふれて鑑賞。とにかく良く知られた作品でほかの人と話ができる。いくら好きであっても、セリーヌナチス占領下のフランスで流行った作家)「世の果ての旅」誰か話し相手になってくれますか?19世紀半ばのドイツの統計学者リューメリンの随筆 いいですよ。読めば今の統計学研究者たちは踊る阿呆。

ハムレット」をじっと見ると、その時代、その社会の文化状況が見えてくる。定点観測指標作品。今日の状況を坪内逍遥の「ハムレット」朗読から探索。

坪内逍遥が「ハムレット」を朗読したのは昭和8年(1932年)10月5日。朝日講堂、シェイクスピア朗読独演会。満場立錐の余地なし。はじめてのラジオ中継。逍遥は直前になってラジオ中継中止を申し出る。ラジオは寝転んで聞く人もいるであろうからという理由であった。75歳、この時は背広での公演、70歳での朗読会はモーニング姿であったという。朗読者は正装、聴衆は姿勢を正して静聴。聴衆に穂積陳重(法学界の大家、名随筆家)夫妻、奥様(伯父は渋沢栄一)談「お声が若く、人物、情景の読み お上手で」名古屋ナマリだったそうです。コロンビア社からレコードになっているが、入手困難。演劇博物館のための資金集めが目的であったということは、荒井良雄シェイクスピア全作品朗読会の収入をロンドンのグローブ座再建のために寄付したことと符合する。

坪内逍遥のねらいは日本に近代的な演劇文化を築くこと。

今の日本 「万引き家族」とかがもてはやされ 下品な笑いに満ちているように思われるが どうなのだろう。

とにかく、逍遥は 正装して 墓堀人の戯言など 朗々と。聴衆一同不動の姿勢で拝聴。

 

坪内逍遥ハムレット朗読 聴けます。

国立国会図書館 歴史的音源

https://rekion.dl.ndl.go.jp/

暖かいしゃべり。