BBC版の「ウィンザーの陽気な女房たち」見ている時も、見終わってからも、どうもしっくりこない。
見どころは ユーモアとウィットのかたまりで超然たる態度のはずのフォルスタッフが情欲に支配され、外見に騙されて愚行をはたらく。フォードは嫉妬に荒れ狂う。フォード夫人とページ夫人は女性の視点と行動力で 男たちの愚行をあばく。生気あふれる舞台のはず。
BBC版の映像には 存在感 魅力ある役者が出てこない。
俳優座1957年公演の千田是也のフォルスタッフに東山千栄子、岸輝子 すばらしい。
1970年のロイヤル・シェイクスピア劇団の巨漢、ブルースター・メイソンのリアリティ。
そもそも 私は恋愛を楽しむ人々 というのを現実の老人ホームで見ていない。イギリス王家ではチャールズ王子はダイアナさんと結婚してもカミラさんと仲良しでその愛を貫いた というのは知っている。日本でもラブ・ホテルというものもあり、危ない恋愛の愛好者少なからず、とはいえアセチレンの炎のようで眩いが臭い。美しい、劇的なものとして想定しえない。日本では天皇家すら自由恋愛はしてみえないようである。
夢物語として楽しもうにも ・・ 初老のデブじいさんの愚行は夢たりえない。