真夏の夜の夢 

 坪内逍遥は 「真夏の夜の夢」について「空想詩としては古今有数の絶品なれども、実演すべき劇としては成功せるものとはみなしがたし」と言っている。

 今 私はBBC制作の「夏の夜の夢」を見ているが坪内説に同感である。しかし 昭和3年の築地小劇場での上演以降 東京芸術劇場 前進座 近代劇場と各劇団が上演し興行成績も良いとのこと、近時海外での映像作品も多数。日本女子大学シェイクスピア上演 第1回の演目は「真夏の夜の夢」昭和10年 加藤長治演出。この大学は戦争直前1941年12月軍人会館で「真夏の夜の夢」を企画。中止となっている。

 上演を考える人々には魅力のある演目のようである。私はロバの耳をつけたボトムがやってみたい。もてないヘレナ役をもらって喜ぶ美女もいるのであろうか。あの台詞 言ってみたい がいくつもある。

 上演では 夜の闇 が大事。シェイクスピア当時のロンドン グローブ座という空間が一番なのであろう。能楽はパリのオペラ座でもやれるのであろうが やはり能楽堂でやるのが一番。荒井良雄シェイクスピア全作品朗読 その利益をロンドングローブ座再建に寄付した というのはスッキリ道理にかなっていると感心する。