「ヘンリー5世」 雄大な喜劇

「ヘンリー5世」は「ヘンリー6世」とは異なるジャンルの劇である。「ヘンリー5世」は喜劇。コーラスで始まりコーラスで終わる。古代ギリシア風。

 

終末のフランス語の話せないヘンリー5世英語がダメなフランス王女キャサリンの愛の対話はオモシロイ。

キャサリン「陛下 shall mock at me; I cannot speak your England.」

ヘンリー5世「ケートさん Do you like me?」

キャサリン王女「Padonnez-moi, フランス語でゴメンナサイ 英語 like me (好き)ワカラナイわ」

ヘンリー5世「天使のようなあなた」

キャサリン王女「(フランス語で)男というのはウソばかりで・・」

 中略

キャサリン王女「(フランス語で)あなたのフランス語は私の英語よりもお上手」

ヘンリー5世「君のイギリス語と私のフランス語はまちがいだらけ。でも中身は真実。あなたは私を愛することはできますか?」

キャサリン王女「I cannot tell. (表現できません と訳したい。坪内逍遥訳 わかりません) 「あなたは そのウソのフランス語で 一等貞淑なフランスの娘をでもオダマシになります。」

ヘンリー5世「真正のイギリス語で申し上げます。ケートさん、わたしはあなたを愛してます。私と一緒になりますか?」

キャサリン王女「父の王がよろしいと言うようでありますれば」

ヘンリー5世「大丈夫」

キャサリン王女「それなら私もよろしいです」

ヘンリー5世 抱いてキスしようとする 侍女「フランスの婦人の習慣にありません!」  ・・・ もう大騒ぎ 

 

なぜか終戦直後の米兵相手のパンパン 立川基地門前の歓楽街に五千人 どんな英会話だったのか パングリッシュ を想起。英語は通じているのかいないのか。

 

喜劇。しかし どこが雄大

キャサリン(カトリーヌ)の父はフランス王シャルル6世。カトリーヌの夫となる人が次のフランス王。つまり結婚すればフランスが手に入る。歴史上もそうなっていますが、結婚直後 ヘンリー5世は34歳で病没。戦場で赤痢に感染。病弱だったシャルル6世が没したのはその二か月後。ヘンリー5世のイギリス軍がフランス軍を壊滅させた直後の物語。軍は潰滅、多数の貴族が捕虜。王は王室の至宝である娘をさしだした。シェイクスピアはそれを喜劇として表現。