シェイクスピア劇の聴衆

f:id:Balance1950:20210718210933j:plain

THE OXFORD COMPANION TO SHAKESPEARE

シェイクスピア劇の聴衆はどんな人たちだったのだろうか。

A.Harbage Shakespeare's Audience 1941 読んでみたい! 内容を想像。自由平等を好む気運の人々が土間の立見席にあふれていた、かな。貴族・地主 / 農奴ではなく、独立自営農民層とその解体過程の都市流入層。地代金納化後の時代 幾世代にわたって蓄財 農地の権利取得 封建的隷従から解放され(つまりは保護もされなくなり)やがては資本家か労働者に分解していく階層。疫病と百年戦争 兵士不足のイングランドで地位向上。ハムレットと夜警の若い兵士たちはフレンドリー。民衆は「レアティーズを王に」と騒いだりする政治好き。「ハムレット」初演の半世紀後にはイギリス革命が始まる。

ここで言いたいのは 日本語訳は封建的上下関係過剰の卑屈な言葉一色。シェイクスピア劇の言葉を中世英語と誤解する人多し。民衆/市民が尊重されない言葉をシェイクスピア劇の聴衆は喜ばなかったはず。松岡和子氏もシェイクスピア作品全訳、最後の作品「終り良ければばすべてよし」傲慢な青年伯爵への女性からの求婚の言葉を従来訳から変えたいと推敲をかさねた とのこと。